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May 12, 2005

U800-3

 昨日のお礼のメールを送った。いつも高いお店に連れて行って貰っているのが申し訳ない。でも、こんなことがいつまで続くのかなぁ。なんとなく、彼がなにか言いたげで、わたしも何か言わなければいけないことがありそうな気がしながら、たわいのないおしゃべりをして終わる。

 今日もお昼はゆうちゃんが誘ってきたので、色々話を聞く。だんだん、前の職場の人の話が多くなってくる。とは言っても、彼氏とは毎日会っていて、前の会社の上司とはメールしかしていない。彼氏のメールは見せてくれたりするのに、上司のメールは見せてはくれない。これじゃあ、私じゃなくても誰でも今の気持ちがそっちに向いていることがわかる。人間って欲張りだ。平凡だけでは飽き足らないように出来ている。メールだけで相手が本当にそんな気持ちで書いているかどうか分からないのに、惹きつけられていく。女性がいっぱいの職場だから、元上司は甘言も得意だろう。到底まだまだ女性の恐ろしさを知らない年下クンとは相手にもならなくなっていく。でも、・・・。本当のことはいつか見えてくる。いつものように、おのろけを聞いているのだが、ひしひしと感じているのは、私に対しての自慢なのだ。彼女は仲良くなった最初に、私の学歴が大卒なことと前職場が一般に知られた会社だったことをいつも見せない顔で呟いた。彼女にとってはそれが私たち二人の違いだったのだろう。私もそんなことを聞かれなければ話さないし、そんな顔を見せた彼女には話すことはないだろう。しかし、何か思うことがあるようで、彼女と私との歴然とした差異をひけらかしてくる。逆に私のコンプレックスなのかもしれない。ゆうちゃんは、元々も顔も可愛いのだが、販売をしていたので化粧方法も髪型もうまくまとまっていて、誰もがこんなところでパートは勿体ないと言うぐらいなのだ。彼女が来た頃に、篠田さんがアタックを開始した。篠田さんだけじゃなく、他の人達も参戦したと聞く。私は、篠田さんがちょっといいなぁって思っていたから、やっかみがあるのかもしれない。だから、彼女が元上司の誘い文句を嬉しそうに見たり、元の職場に帰られるかもしれないという希望に胸を膨らませているのが、ちょっぴり腹が立った。つきあっている年下の彼氏も、頼りないとこぼす割に、いい会社に勤めていることをよく話す。あぁ~だめだわ。こんなにひがみ根性になっていたら・・・、何かカルシウムでも足りないのかしら。
 イライラの原因は、朝母から着たメール。仕事が終わったら、会わないと行けない。それでもって、ゆうちゃんと同じように、男の愚痴を聞き最後にのろけを聞く羽目になるのだ。

 母は、ゆうちゃんのようにもてるタイプなのだが、彼女とは正反対のタイプだ。父が大事にしていたせいで、結局家のことは何にも知らないことになってしまった。
 母がハンズの前で手を振っているので、そのまま私の方に進んでくるから、東門の通りを北に上がった。母とは、いつも母の知り合いの知り合いがやっているというこぢんまりしたレストランで食事をする。今日は何事かと話を聞いたら、
 「結婚することにしたのよ。」と言うのだ。
 母は、しあわせの村に近い仮設で暮らしていたときに、よく夫婦喧嘩をするお隣のご主人と仲良くなり、仮設から市住に移ってすぐに男の元に行ってしまった。隣の夫妻は、夫が会社が焼けて無職になり、奥さんがパート勤めで生計を立てていた。なかなか、再就職が難しいので、夫婦喧嘩が絶えず、とうとう隣でのんきに花を触っている母に癒しを求めたのだった。母とは10歳近く離れている。でも、いつも可愛らしい感じだった母を年上とは思わず、どんどん惹かれていったようだった。母は母で、誰かに手を引いて貰わないと歩けないようなそんな生活をしていたので、娘が3人いるという感じの家だった。父は私たちを可愛がってくれたが、母をもっとそれ以上に大事にしていた。母はいつも家の中心で、8つほど離れた姉は父に似て美人で頭もよく父とタイプが似てしっかりしていた。弟は私よりもまだ5つも年が離れていたので、みんなに可愛がられ、わたしはなんとなく中途半端な存在だった。でも、家族がいた頃はとても楽しく笑いが絶えなかった。
 そんな家に不幸が押し寄せ、私と母以外はみな亡くなってしまったのだ。あまりのショックに母は長いこと入院し、わたしがひとりでいろいろすることになった。今までは父か姉がいたら大丈夫だったことが、全部こちらに回ってきた。しかし、父や姉のおかげでどんなに助かったことか。ちゃんと地震保険をかけていてくれたので、そのお金が入ってくるし、他の保険会社からもかけていないものなのに見舞金が出たりした。父や姉弟の保険金もなんとかうまくいって全部出ることになり、たった二人で家を建てることもないし、市が買い上げてくれたりしたので、終わったときには今まで考えたこともないようなお金が二人の手元に残った。父がいつ死んだかで遺産分配も変わってくるけれど、家を何戸も建てられる金を残していても仕方がないのでと、母は半分にしましょうと言ってくれて、そのまま根本さんが紹介してくれた信託銀行に二人の口座を作った。仮設に住むことになったので、貸金庫まで借りることにした。だから、母は無職の人と幸せに暮らせるお金を持って彼の元に行ったことになる。だから私も、市住を出て豪勢な暮らしをはじめてもいいぐらいにはあるのだ。
 「でね、向こうのこどもさんも認めてくれたから、この際籍に入れようかって。税金対策にもなるしね。」
 「でね。気になるのは、私が死んだときなのよ。向こうの子どもとは養子縁組するわけではないから、夫とあなたが半分に分けるってことになるんだけれど、私も変かもしれないけれど、お父さんや舞ちゃんお金をね他に渡すのはどうも気が引けてね。夫はいいのよ。これから一緒に住むから。でもね。お金があるってことはね。夫は、自分の子どもが可愛いから、どうなるか分からないでしょう。こちらも会うようになったり世話になったりしたら、籍は入れてませんからと言いづらくなるしね。いえいえ。世話をして貰うつもりなんて全然ないのよ。それならあなたにして貰うもの。でも、やはり高額のお金を持つってのはね。やはりね。」
 「どうしたいの。」
 「だからね、私の分もう半分先に渡しておきたいのよ。もし、半分渡していたら、亡くなったときに、全部夫がお金をどうこうしようとしても別に問題ないわけだし、夫が残りを半分にして持ってきたら、金額的に厳しそうならあなたなら、夫に戻して上げるでしょう。でもね。金額が金額だから死ぬ前だと贈与税が高く取られちゃうかしら。」
 「それは、また根本さんに相談してみるけど・・・。」
 「そうそう。それよりも、結婚してもいいか聞くのを忘れていたわ。別にいいでしょ。向こうがぼけてもあなたは介護する義務もないし。そうそう、それとね。言っておかないと、私が死んだらね。お父さんの方の墓に入れて欲しいの。」
 「そんなこと出来るの?わたしいやよ。悲しんでいるところに、遺骨はこちらに預からせて貰いますなんて。」
 「お母さんもいやよぉ。知らない人ばかりのところにはいるのは、お父さんと一緒なら舞ちゃんも陽ちゃん一緒だし、あんたは別になるけど。でも、墓の管理はして貰うからね。」
 「そんなお母さんの都合のいい話はないでしょう。」
 「そうね。私が長生きしたら丸く収まるのよね。」
 「はいはい。そんなことを言っている人が、長生きするのよ。」

 食事を終えていつも行くカップがブランド品ばかりの喫茶店で、今の仕事の話しを聞いたり、相手の別れた奥さんのことを聞いたり、相手の人が大事にしてくれていることをのろけをきいたりした。顔も性格も可愛らしい母なので、最後まで大事にして貰えるだろう。残念ながら、母より年下なので、父のようにまで気を遣って貰えないらしいのが不満だそうだ。しかし、父のような頭のいい人はなかなかいないだろう。母は、賢いのでそんな父と比べるような話しは一切していないだろうから、改善されることもないだろう。

 今日は、当てられっぱなしの一日だった。久しぶりにパソコンをかけ、メールチャクをしてから、根本さんに相談があるとメールをした。今日は母がしきりに美味しいと言っていたお酒を帰りにコンビニで見つけて、いま、月と乾杯しながら賞味している。ゆうちゃんといい、母といい羨ましい限りだ。わたしは紹介して貰った彼と連絡をつけないまま1週間が経とうとしている。

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Comments

コメントありがとうございます。
ブログにも書いていますが、
この映画を観て気に入ってしまい、
最近出たDVDBOXを買ってしまいました(笑)
そのレビューなどものせているので
機会があればのぞいてみてください♪

Posted by: リーマン | May 12, 2005 at 11:17 AM

 こちらこそ、TB&コメント有り難うございました。
 すごい。もう4つも見られているではないですか。私なんて、書いたものとあとストレンジャー・ザン・パラダイスだけなんですよ。偉そうなこと書いちゃった(笑)。この監督さんの見たい作品がなんというか白黒だけみたいなんですよね(笑)。ははは。

Posted by: 海音 | May 12, 2005 at 11:37 AM

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