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May 25, 2005

サマリア

インドにバスミルダという娼婦がいたの。
ところがその娼婦と寝ると男と言う男は皆、熱心な仏教徒になったんですって・・・。
私をバスミルダって呼んでくれる?


 昔子どもの頃に教会へ行っていたので、この題名を見たときに、善きサマリア人(びと)と浮かんだ。聖歌でも出ているものがあったと思う。サマリア人は、ユダヤ人に迫害されていた民族なのだ。キリストは、差別をしなかったと言う話しが聖書にある。(ちょっと要約しすぎかな)キリスト教徒が多い韓国なので、聖書がベースになっているのか、何て思ったが、そんなことも忘れて見に行った。
 監督は、キム・ギドク。好きな監督さんだ。
 私の特技は、自分と同じ星座やアセンダントの星座を当てることが出来ることなんだが、映画や舞台などの場合もいいなって思うものは、方向性が一緒だったりするから、同じ星座の人がなぜか多い。もちろん、私の星座は、どの本にも向いている職業に映画監督があり、映画監督が多い星座だから、確率は高い。長い話しになったが、よーするに私と同じ星座なのだ(笑)。
 バカなことから書き始めてしまった。

 ねたばれします。

 この作品は3部構成になっている。
 援交をして儲けたお金で、二人でヨーロッパに行こうという高校生ヨジンとチェヨン。ヨジンは警察官の娘で、そんなことは止めようよぅと引き留めるが、チェヨンは笑って自分をバスミルダって呼んでくれという。彼女の背景は見えないが、ヨジンと優しくして自分を見てくれた男の人を愛しているような女の子だった。ある日、警察の手入れが入って、静止も聞かず、チェヨンは笑って窓から飛び出した。死んだ後も、彼女は笑っていた。この笑顔で、バスミルダとして生きていたことを象徴していた。第2部は、その姿をヨジンを通して観客は見ることとなる。チェヨンがお金を貰った人達に一人ずつ会い、ベッドに入りチェヨンの話をし、お金を返す。その彼女のチェヨンが乗り移ったかのように、優しい姿にほだされ、男達が癒されていく。それにより、彼女もチェヨンを失ったことを癒していったようだ。
 第3部はそんな姿を警察官の父は見てしまう。愛しい娘を犯した男を最後にはわが手で殺してしまうのだ。ラストは、自首をして終わるのだが、何とも悲しいシーンだった。
 この映画を見ていて、不思議だった。自分の気持ちが、主人公ヨジンの援交をすることが気持ち悪く汚らわしいという気持ちに同調し、その後バスミルダのように、寄り添う姿にも同調してしまう。私は女なので、悲痛な父の行動には同じ思いをすることが出来なかったのだが、未成年の子供を持つ父の行動として、ありのまま写った。なんというか、本当にあった事件の再現映画のようなのだ。ニュースで、一人の女の子がホテルから身投げして死んだ。それを聞くと、ただそれだけの話し。しかし、その女の子はなぜそんなところで援交をしなければならず、なぜ父親は人を殺したのか。誰でもむかえる日常の歯車の掛け違いを必然的に折り重ねていく。自分の気持ちを重ねてしまっても無理はないのだ。逆に言えば多くの事件にこのような物語や問題が封じ込められていると言うことなのだ。そんな体験をするような映画だった。
 援交を美化した映画でも何でもない。悲しいほど男女で親子の話だった。不思議な感覚で捕らえられて終わった。何なんだろう。そういう行為をする人達が汚らわしいとも思えなくなってしまった。お互いお金と性欲のためにやっていることだろうが、男女の結びつきの不思議さを感じさせた。

 この映画を見て帰る空いた電車で痴漢にあった。すぐに逃げたから、別に大したことはないのだが、何となく、キム・ギドク的な終わり方だなぁと思ってしまった。

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Comments

みんないつか狂ってしまうかもしれない、とキム・ギドクが言ってました。
狂った状態がスタンダードになったら、今正常と呼んでいるものが狂った状態になる。

チェヨンもヨジンも、彼らの価値観では「正常」で、ただ父だけが職業上一般的価値観での「正常さ」を信望しているだけに、苦悩し「狂っていった」。でも娘への愛は正常以外の何者でもなかった。

ラストのカーチェイス(?)胸が熱くなりました

Posted by: しん | June 01, 2005 at 12:27 PM

 しんさん、コメント有り難うございます。
 ラストシーン良かったですね。とても悲しかったです。この人の文章を読んでみたいなぁと思いました。溶け込んだ風景の中にどんなに色んな気持ちを入れているんだろうと寂しいラストで思ってしまいました。

Posted by: 海音 | June 01, 2005 at 02:14 PM

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2005/4/20 観てから二週間もたった。 この映画を語るにふさわしい言葉を模索してきたが、思いつかない。 ボキャブラリイが足りない 一つはっきりしてるのは、これはまぎれもなく「最高の映画」なのだ。 感想は小出しにして、時間をかけて完成させようと思う とりあえず印象的だった台詞 「セックスの時、男は子供になるのよ」 はいそうです。 そして女はセックスの時、母親になる。(こんなこと書いたらマザコンと思われそ... [Read More]

Tracked on June 01, 2005 at 12:21 PM

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