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May 08, 2005

U800-1

 脂肪化する乳房の垂れ具合から連想して、昨日の借りてきたDVDの女優の張った乳房を思い出しながら、目が覚めた。
 わたしの1日は、LDKのバルコニー側に置いた高さがあるテーブルで、そこから見える海と大橋を見ながら、ラジオを聴いて、菓子パンをかじることから始まる。今日のバルコニーの天井から向こうに広がる空は、灰色の雲がまばらに散らばっていた。

 私の家は、私一人が住むには広すぎる。ここにくる前も、家具があった訳ではない。このLDKに冷蔵庫とオーブンレンジを入れただけで、テーブルは海を見たいがために、高さのあるものを探したのだ。玄関の入って右側の洋室には、たくさんのパイプハンガーにかかった服を入れ、クローゼットにしている。あとは、バルコニーに近い側の6帖の和室の真ん中にベッドを置いている。あとは、その和室とこのLDKの間の敷居の上にTVがあって、洗濯機が洗面所にあるぐらいかな。そこに下着やタオルを入れている籐の3段箱があるぐらいだ。もう一つの和室にある押し入れに鞄を並べていて、靴は玄関すぐの収納に並べている。持ち物と言ったらこんなものだけ。出社時間はちょっと遅めの9時半。出かけるときには、エレベーターであう人もあまりおらず、この建物を出るまで人に会わないときがある。隣に住むおじいさんは、奥さんを最近亡くした一人暮らし。玄関を見て左隣は、私より後に入ってきたけれど、挨拶にも来なかったし、出勤時間も違うのか会ったことがない。一人暮らしのおじいさんもバルコニーのパーテーション向こうで、水やりをする気配を感じるぐらいで、話すこともない。

 駅に行くまでにあるコンビニで、新しいお菓子を見つける。今日は、サラダの大きいのをお昼に食べようと思った。仕事場は、もっと早くから来て動いている人達がいるので、バタバタと動いている中を挨拶しながらタイムカードを入れて自分の席に座る。狭い事務室で机もサイドがないので、他の人のものも載っている場合がある。机に貼っているメモを見て、電話をし、昨日の続きを始める。
 仕事は簡単な伝票書きがあったり、メール確認があったり、事務室に電話があったときには、それをとったり。6つの机がむかえあわせになっているけれど、私以外の人がずっと座っていることはない。でも、後ろで色んな人がバタバタし、雑用を言ってくるので、忙しいわけでもないがバタバタしている。ここでは、パートで入っている。前にいた所では、経理事務をしていた。何が嫌ってことでもなかったんだろうけれど、今はパートでここにいる。ボーナスなんて無いので、年収はとても言えるほどではない。
 昼休憩を取った同じパートで店内の方に出ているゆうちゃんがお昼にしようと呼びに来たので、戻ってきた店長にお昼行きますと声をかけ、鞄を持って食堂に行った。この会社は、殆どパートばかり、私ぐらいの年頃の娘がいる人から話しかけられたり、向こうのテーブルにいたパートさんが主人と城崎に行ってきたのと、おみやげの箱を持って、私の所まで回ってきてくれた。食べる人も毎日時間が違っていて、仲良く談笑する人や一人で食べている人、終わって珈琲を飲みながら本を読んでる人、テレビのあるところで集まってご飯を食べている人、色んな人がいて、ざわざわしていて、そんな中でも、自由にいることが出来るので気ままでいい。
 「・・・で、昨日はね。和が言わないから、私の方から言ってみたのよ・・・。」ゆうちゃんは、私より一つ下で、3つ下の彼氏と毎日会っている。彼女は、バツイチで、前も販売員をしていたのだけれど、離婚する前に辞めてしまい、離婚後は年齢的に復職出来ずに、こんなところでパートで入っている。彼女の悩みは毎日のように聞かされている。こんなところよりいいところで正社員になりたいことと、今の彼氏が年齢よりも幼すぎることと、たまに友人が泊まり込んで自分の家に帰らず、彼女の服を着て夫のいる家に帰ってしまったりすることと、前の勤め先だった上司が最近頻繁に連絡してくることだ。
 「やっぱりね。私がバツイチだから、不倫しやすいと思っているのよ。」と、まつげを念入りに鏡で見ながら、深く考えているようなポーズをするゆうちゃん。彼女は、今までいた会社では出会わなかったような女性だ。帰りに飲みに行ったこともあるが、彼女の彼との待ち合わせの時間潰し程度だった。どう思うと聞きながらも、別に参考にするつもりもないようなので、適当に言葉を返す。
 お昼からは、銀行に行くので商店街を歩ける。バタバタしている分何をしていても分からないので、100均やコンビニに寄ったりしながら、事務所に戻る。今日も5時半で終了。お先にと、座っている幾人かに話しかけ、タイムカードを押して外に出た。

 今日は、バスに乗ってお風呂屋さんに行くことにする。バスタオルとタオルと着替えと石けん等は持ってきていた。本当は、帰りに単車で風を切りながら家に帰ったら、髪も乾くし、気持ちいいのにと、向かうバスの中で外の景色を見ながら毎回思う。今日のお風呂屋さんは、温泉があるところ、ついつい上がった後にコーヒー牛乳の蓋を開け、左手を腰に当ててうはぁと飲んでしまう。髪の毛は半乾きで、赤い顔をしながら、座って休んだ。外の色は暗い青に変わっていた。下着は替えても同じ服を着て帰るのは嫌だ。
 バスに乗って、駅に向かい、自分の駅でドトールに入った。いいやとサンドとミルクレープを頼む。席から見るガラス越しの外は、私を置いてきぼりにするような急いで歩く人達の群れ。珈琲がのどに入った頃には、そんなことも忘れて、持ってきていたCDの音楽の中に入っていた。
 私の部屋には、廊下側以外にはカーテンがない。同じ高さになっている住宅がないからだ。だから、ドアを開けたら外の色が見える。鞄から中身を全部テーブルに出し、押し入れに鞄を入れ、テレビをつけた。げらげらと笑っている声ばかりが耳に入る。私は、洗濯物を片づけて、服を着替え、コーヒーメーカーにキリマンを入れて、また珈琲を飲む。テレビの音は興味が持てず、流しの上に置いていたたばこと灰皿とライターと珈琲を持って、バルコニーにでた。そうそう、バルコニーには千円で買った小さな丸いテーブルがあった。そこに置いて、バルコニーに腕をのせて、たばこをくゆらせながら、灰色と黒い青が混じった中で、黒い線で描かれた橋が色とりどりの光をぽつぽつとつけるのを見た。
 あ~あ~。
 今日初めてこの家で発した言葉。たばこを半分ぐらいで消し、家に入ったら、黒い青を引き連れてきたみたいだった。携帯に友達のメールが着ていた。

 なんだかなぁ。

 そんな毎日を永遠に続けている。

つづく

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