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June 28, 2005

サクリファイス

 サクリファイス=犠牲

 神戸芸術映画祭のトリを飾ったのはこの作品。16本中13本をただで見させて貰ったのだが、「死刑執行人もまた死す」と「叫びとささやき」とこの作品が良かった。
 監督は、アンドレイ・タルコフスキー。彼の遺作になる。以前見たことがあるのは「惑星ソラリス」のみ。素晴らしい映像で映像詩人の名にふさわしい人物だ。ソラリスの中で近未来の映像を東京で撮っていたのだが、今回この映画でも最初から日本が出てくる。ヨーロッパの果てで、松の木を移植する親子。尺八の音が流れ、日本の着物を羽織り、前世は日本にいたという主人公の姿が、日本人である私には不思議でしかなかった。
 この映画は少し分かりにくいだろう。事実と夢と未来とが同じように写されているために、その言動のみでついていかないといけないのだ。それが、あまりにも美しい画面構成のために目を奪われそうこうしているうちに迷ってしまう。もう、20年前の作品になるので見られている人も多いと思い、あらすじを簡単に書くと・・・。
 役者として名声を馳せ今は大学教授や評論家になっている主人公。言葉が話せない幼い息子と一緒に海辺で松の木を移植する。水やりを3年し続けて、実がなった話を息子は聞かされる。その日は、主人公の誕生日。息子と家に帰りながら、一人語りする。なぜか2重構造になった話をしていたと思ったが、中身を忘れてしまった。集中しているときにおどけて驚かしてきた息子を払ってしまい怪我をさせる。その後、郵便配達員が祝いの電報を届けにやってきた。彼は、主人公にニーチェや輪廻転生について質問する。この映画の最初にダ・ヴィンチの「東方三賢者の礼拝」が出ているので、宗教的なものが色濃く出てくるのかと思っていたが、主人公は無神論者に近く、どのように展開されるのか、何も考えずに見入っていた。医者や妻が戻ってきて、郵便配達員もお祝いの品を持ってきてくれる。主人公が息子の様子を見に行って、その後居間に戻ると、今やってくる核兵器の恐怖がTVで放送され、妻は泣き叫び、彼は寝入ってしまった。その時に、郵便配達員に起こされ、あなたは魔女と言われているあなたの召使いと寝てお願いしなければならない。」と言われる。彼の言われる通り、召使いの住む所まで行き、自分の母との出来事を話して、助けて欲しいと彼女に迫り、二人は空中に浮く画像が現れる。なんか書いている私が分からなくなってきたが・・・(笑)。で、彼が朝目覚めると何事もなかった朝が生まれていた。昨夜神にすがった時に、神の愛への代償として語った。すべてのことを実行する。という話だが、別の風にも見える。疎遠なっている妻との関係、精神的に病んでいる家庭の崩壊を核戦争が勃発したという夢の世界で表現しているとも言える。って、読んでる人には分かってもらえるのだろうか?切れ目がないので、どのようにも取れるように作っているのではないだろうか。
 その世界を風景や家具の置き方、画面構成が美しく、私を捕らえて離さない。素晴らしい映像美だ。この作品は何回見ても終わったあとの見解が変わるのではないかと思う。主人公を通してみるタルコフスキーの厭世観。中世絵画のような人物配置に、その時代の宗教観を反映させたかったのだろうか。

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