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July 02, 2005

ミリオンダラー・ベイビー

 アカデミー賞を獲得したからといって、私の趣味かどうかは分からない。この映画も受賞当時賛否両論で、アカデミー賞に相応しい四の五の言わせないような映画が最近出てきていないことを表している。
 私一人ではきっと見に行っていなかったと思う。

 ストーリーは、二人の男が一人の女の成長を見守るというものだ。男性社会に目をとめて貰うには、打算無く懸命に生きている姿が一番にいいだろう。家族の話も交錯していくので、単なるボクシングではい上がっていくだけではなく、環境が浮かび上がり、主人公達の思いが伝わってくる。と言っても、この映画の人物達は寡黙で、私なら腹が立って仕方が無いことも、家族愛が強いために、傷つきながらも、寡黙に動いてしまうために、映像からでもなかなか受け取ることが出来ないから、観客の頭に入れて、心で見てくれって感じで描いている。原作は短編らしいが、見たときには他に描き足りないものがたくさんあるのではと思われた。主人公の娘の話も、観客の頭と心で完結させるしかないような作りになっている。帰りに友人T1があれはどうだったのと聞いてきても仕方がないだろう。戦闘映画やSFなどのスピードがあって見逃してしまうという感じではないのだ。わざと観客に託したような感じだ。それは、第3者の語りが、割と遠い人物にさせているところからも、伺える。
 この映画で何が心に残ったかっていうと、トレーラーハウスで住む巨漢の母と、妹は若くに子供を作り実家に戻って生活保護を受けていて、弟は刑務所の中。ボクシングが無かったら、自分もトレーラーハウスで生きる一生しかない。家族は、彼女にお金しか見いだしてくれず、愛情が何も感じられない。求めることすら忘れてしまっていた空虚な生き方。悲しすぎる。このような家族は世間にいるとは思うが、あまりにも切なすぎる。そのために、彼女は這い上がろうというのを願っているわけでもなく、ただ気持ちを奮い立たせるものだけのために生きている姿。狂おしく熱烈に生きた人生は短くても生きた証になる。ラストのあの言葉にじーんとさせられる。愛する人、いたわる人が必要だ。

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「映画」カテゴリの記事

Comments

俺、人生を無駄に生きてるなぁ・・・と思った
何もなしていない状態で、全身麻痺になったら・・・って思うと、ぞっとする


の状態でなお死を望んだのが「海を飛ぶ夢」ですな(観てたっけ?)

家族をことさら強調するハリウッド映画が多い中で、家族より心の絆をうたい上げた本作は、勇気ある孤高の映画という感じがしました。

Posted by: しん | July 04, 2005 at 12:47 AM

こんばんは。TBさせて頂きました☆
こんな硬派な映画を、ハリウッドで作っているクリント・イーストウッドを尊敬します。
ほんと「わざと観客に託したような感じ」ですよね。
その物足りなさがクセになりそうでした。

Posted by: kokoro | July 04, 2005 at 08:56 PM

★しんさま
 しんさん、私の方がえっへんと自慢出来るぐらいに無駄に時間を過ごしています(笑)。残念ながら、「海を飛ぶ夢」は見ていません。しんさんのブログを拝見しに行きます。

★kokoro様
 映画のレベルが高くなってきましたね。求められてもついて行けるっかって感じになってきそうです(笑)。

Posted by: 海音 | July 04, 2005 at 10:33 PM

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