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August 01, 2005

エレニの旅

 エレニとはギリシャでは多い女性の名前。ギリシャの愛称。おじさんおばさんの観客が多かった今回の映画。テオ・アンゲロプロスは70歳を過ぎた映画監督だが、映像は若い若すぎる。アンゲロプロスって言いにくい。わすれちまう。私の好きなエミール・クリストリッツァといい勝負。アンゲロプロス、アンゲロプロス、アンゲロプロス。覚えたかなぁ~。クリストリッツァの方が間違っていたりして・・・。
 映画の評価って、何で評価するんだろう。この映画を見てふとそう考えた。それぞれ違うのは当たり前なんだが・・・。友人達とご飯を食べに言ったりするのだが、例えば何ヶ月も前に行った六甲道の仏料理屋さんの店がどんなんで照明がどうだったか。コックさんとまかないのおじさんまでくっきり思い出せるのに、何を食べたのか全然思い出さない。レストランでその雰囲気、応対などを覚えているのに肝心な皿の上のものが浮かばないのに、一緒に行く友人達は料理を覚えていたり、服装を覚えていたり、と興味を持つ対象が違う。私は、今サウンド・オブ・ミュージックの絵コンテを描けと言われたら、全部描けるだろう。まぁ、完全とは言えないだろうが、この映画は有名なので誰でも描けるか。
 私は、見終わった後、映画に惹きつけられるのは、その「光景」だと思った。今年は、映画の評価はさておき、見たことのない光景を見せてくれた映画が2本ある。1本は、「宇宙戦争」で、もう一つはこの映画と言うことだ。
 この監督の映画は時間をおかしくさせる。数秒の出来事を大事に長く引っ張り、数年をたった何秒かで飛ばしてしまう。大河的映画なら当たり前という人は多いかもしれないが、普通描くだろうと思われるようなことが、もう済んでしまっているのだ。何に焦点が置きたいのか。主人公でも、物語でもない。彼の描き出したい映像詩に心を傾けているのだ。これは、監督のファンの人には否定されるかもしれないけれど、私はそういう意味で惹きつけられたのだ。
 今回、CGを一切使わずに、あそこまで見せてくれた。今までこの人の作品で、「光景」を意識することはなかった。彼の作品には「過ぎていった時間」しか描かれなかったからだ。しかし、この作品は、いまその時間を目の当たりで見せてくれた。こんなにすばらしい映像的な光景はあっただろうか。
 あまりにも素晴らしくて、1枚1枚を写真に撮っておきたいほどだった。この世界を考えつく彼の頭の中が悲しくてつらすぎる。
 エレニの旅は監督の旅だ。終わりを告げたいのだろうか。

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Comments

おじゃまします
70超えて、そろそろ俺の旅も終わりかなあ・・・と、じゃあ、その前に自分を産んだギリシャの過去にトリップ
三部作構想で、三作かけてギリシャあるいはギリシャ人の20世紀を映画化するそうです。
過去から現在へと
そして自分の儚い命が観てきた悲しみを映像に焼き付け
この映画の人たちのように、フィルムの中に自分の記憶が漂い続ける

ひたすら美しい映画でした。私の今年度ベストは多分これで決まりです

Posted by: しん | August 04, 2005 at 02:41 AM

★しんさま
 コメント有り難うございました。美しい映画でしたね。私は彼の放つ色に見とれてしまいました。
 パンフに3部作と書かれていましたね。高倉健さんも70歳を過ぎてなおまだ主人公をされています。みんなすごいなぁ~。あと半分もあるのかぁ~。私はあと5年でぼけそうなのに(笑)。

Posted by: 海音 | August 04, 2005 at 06:42 AM

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Tracked on August 04, 2005 at 02:31 AM

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