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September 05, 2005

めし

 今週から成瀬巳喜男監督生誕100年記念でNHKBSで成瀬作品が放映される。今日は、放浪記の林芙美子原作、原節子、上原謙主演のめしだった。
 成瀬監督は、小津と二つ違い。二人の小津はいらんと言われたという逸話が残るように、小津に似た雰囲気を醸し出している作品が多いとされている。時代的にも背景的にも選んだ作品が似通って来るというのもあるだろうが、二つ年上なだけの小津を意識していたのかもしれないと勝手に憶測。彼の作品で一番有名なめしを初めてみた。

 話は、東京から大阪に越してきて3年、結婚して5年の夫婦と猫1匹の生活。毎日飯しか言わない夫に対して、自分の人生がこれでいいのかとやるせない気持ちでいた妻。そんなところに、美しくて若い夫の姪がやってくる。その時代の女性の最後の輝かしい時代は、結婚する前に自由に出来る時間やお金があること。対照的な女性の運命を見ながら、こんな風に色々不満が出てくるよねと過去の時代を思い浮かべてしまう。主人公がお里に帰るのも、主人公に重ねて自分を見ていたその頃の同世代の女性たちには気持ちのいいものだっただろう。

 確かに、小津がこの原作を選んだかもしれないが、小津ならこうは撮らないなぁと面白く見せて貰った。小津作品をそんなにたくさん見ているわけでもないが、そんなのへっちゃらで書いてみると、小津なら、少ないセリフでも言葉のインパクト強く残るような気がする。それから、この映画の視線が他人の視線だ。妻の米を洗う姿など、その洗っているのは割とほっておいて、言葉は妻の気持ちを出しておきながら、画面構成は夫の視線や他人の視線のように見下したというか、下を見ているような視線である。原作は女性、脚本も女性と言うことで、その時代の女性の立場を画面構成で見せているように感じた。おもしろいのが、めしという題名なのに、めしがクローズアップされない。何を作っているのか、何を食べているのか、それはまた美味しいのか、全く主題を外に置いているのは、小津とは真逆の表し方のように感じて、面白かった。アイテムが靴と猫。夫は自分の感情を表に表されず、ずっとカメラの視線が見下ろす感じ。それで、この夫婦の関係が分かりやすく入ってきたのかもしれない。
 姪がいう「私がいなくなれば・・・」という言葉に大笑いした妻。詳しい説明はなくても、同じ女として観客は理解出来るという連帯感を生んでいた。
 原節子さんも上原謙さんと美しい人ばかり。特に気になったのは、原節子さんの妹役杉葉子さん。清楚な感じでとても素晴らしく綺麗な女優さんでした。

 明日は、上原謙さん、高峰秀子さんで、林芙美子さん原作の作品です。

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