« 失われた龍の系譜 | Main | おうちでやけどしました »

October 01, 2005

メゾン・ド・ヒミコ

 ジョゼと虎と魚たちの犬童監督の作品。最初は同性愛の漫画を原作にと考えていたところ、この原作に出会ってこちらの方にしたらしい。主人公は柴咲コウとオダギリジョー。筒井康隆の声で解説されたイントロで銀座のゲイバー卑弥呼のママが横浜の海岸にあるホテルを買い取り、そこにゲイのための老人ホームを作った。主人公はそのママの娘で、ママの若い恋人が末期の癌だと伝えてきてから、この老人ホームに通うようになるという話だ。
 この映画を見て私は泣いてしまった。きっとこの映画を見て、泣く人は古今東西私一人かもしれない。ラストシーンでジーンときたわけではなく、この世界観に共通する孤独感に共鳴してしまったからだと思う。男性のゲイと女性のゲイは何となく違うような気がする。なぜか口では人なつっこいおばさんのような姿を見せながら、男性のスタンスの取り方をしていて、異形による孤独感を漂わせている。理解して貰えない。それを笑いに変えることで自分の居場所や自分を保っているような気がする。それは私自身でもあるから、泣いてしまったのだろう。好きな映画にトーチソング・トリロジーというのがあるのだが、これもゲイの話でラストに母親の持ってきた蜜柑と養子の息子の帽子と今愛し始めている人の忘れていった眼鏡と亡くした愛しい人の写真を抱えて、ラジオから誕生日にと息子のリクエストしてくれた音楽が流れるシーンは永遠の名シーンだと思っているのだが、きっと主人公のように私も幸せにないたいと思うからいつまでもこの映画に惹かれ続けているのだろう。映画を見て、この映画を思い出したのも、自分は他では受け入れて貰えないかもしれないと思っているものの悲しい孤独感を主人公二人の姿以外のところで感じ取ってしまったからに他ならない。
 別に気にしなければいいことじゃないと思うときもあるかもしれないが、つきまとう孤独感は、人と違ったものを持っていると思ってしまったものには永遠と存在するような気がしてしまう。だから、孤独を癒そうとするんだろうけれどね。
 この映画の中のゲイの人たちの社会に受け入れられない姿を見て、悲哀を感じて、ああ老いていくってこんなに寂しいものなんだと思ってしまった。自分の老いのために彼らのような幸せの場所を見つけなくっちゃ。主人公が羨ましい。

 犬童監督のラブシーンっていっつも凄いと思う。シーンとなったところを唇の触れ合うぺちゃぺちゃ音を拾うのだ。余計にエロティックに感じる。

|

« 失われた龍の系譜 | Main | おうちでやけどしました »

「映画」カテゴリの記事

Comments

性って、生ってなんだろうって
すごく思ってハマった作品です。
長く映る空がとても印象的でした。

犬童監督のラブシーンってなんか卑猥だよね。
ジョゼ虎のときも思ったけど(笑)

Posted by: chishi | October 08, 2005 at 06:29 PM

★chishiさま
 犬童監督は本当に空が広いですよね。視線が目線ではなく、ジョゼの時なんか、登場人物の下から見ているような気がするときがあった。その分彼らの世界は遠くて広いと、この映画でも表しているのかもしれない。
 ジョゼは、マジで成人映画かもしれません。
 でも、肉・食・排泄は人間の基本部分ですもんね。表現としては、リアルな表現としての人間をもっとリアルに突き詰めた形を描いておられたんですね。面白い映画でしたね(笑)。

Posted by: 海音 | October 09, 2005 at 12:31 AM

私も泣けましたです。
なんか知らんけど、西島秀俊とやっちゃってる時にちょっとじんわり
田中みん(←変換リストにない)の「私は好きよ」にもほろり
オダジョーとコウのダンシングでなぜかほろり
泣くようなシーンじゃないのにさ

Posted by: しん | November 25, 2005 at 03:09 AM

★しんさま
 なんか人間の悲哀を浮き彫りにする映画でしたね。
「私は好きよ」のシーンはこの人いい感じと思いました。田中さんだから出来た役のような気がします。

Posted by: 海音 | November 25, 2005 at 06:35 AM

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/43685/6200781

Listed below are links to weblogs that reference メゾン・ド・ヒミコ:

» 「メゾンド・ヒミコ」賑やかな祭のあと [soramove]
「メゾンド・ヒミコ」★★★☆ オダギリジョー、柴咲コウ 主演 面白そうなキーワード。 ゲイの老人ホーム オダギリジョー、 柴咲コウ。 劇場も公開1週間経った昼でも 7割の入りは上出来。 たぶん予告編も見ていない人が たくさんいたと思う。 普段はあまり...... [Read More]

Tracked on October 06, 2005 at 10:59 PM

» 映画『メゾン・ド・ヒミコ』貴方は何点?(№077) [本と映画と音楽と・・・お酒が好き]
この映画、10点満点なら貴方は何点ですか(^^)?      ※この映画、観て良かった? ←金返せ! / ブラボー!→                        0点□□□□□□□□□□10点      ※友達が観たいと言ったら? ←止める  / 推薦する→ ジョセと虎と魚たちは本当にいい映画だった。軽々しくコレは�... [Read More]

Tracked on October 08, 2005 at 06:28 PM

» 『メゾン・ド・ヒミコ』 [京の昼寝〜♪]
私を迎えに来たのは、若くて美しい男。彼は、父の恋人だった。 ■監督 犬童一心■脚本 渡辺あや■キャスト オダギリジョー、柴咲コウ、田中泯、歌澤寅右衛門、青山吉良、柳澤愼一、井上博一、森山潤久、洋ちゃん、西島秀俊、高橋昌也、大河内 浩、□オフィシャルHP  http://www.himiko-movie.com/ 借金を抱え、昼夜働き、恋人もいない娘沙織。 そんな彼女の元にある日美しい男春彦が訪�... [Read More]

Tracked on October 29, 2005 at 01:01 AM

« 失われた龍の系譜 | Main | おうちでやけどしました »