親切なクムジャさん
いやぁ~、凄かった。
感想はネタばれしているので、行く予定の方は読まない方が映画を楽しめると思います。これから、見られる人には、同監督作品のオールド・ボーイほどえぐくない。映像も上手に選んでいるので、そういうシーンに目をそらしてしまうというものでもない。ので、安心して行って下さい。
コ・スヒ演じる魔女のあの顔がまだ出てくる。別にこれだけがインパクトがあったわけではないが、これが一番私にはインパクトがあった。演技がうまいからあんな風にシーンがのこるのだろう。
このはなしは、鬼子母神譚も含まれているのだ。確かにそんなに悪意があったわけではないだろう。しかし、誘拐の片割れになることが出来る母親がいるのが、当たり前のことのように大して変わったこととは描き出されていないことが不思議だった。それが対照的に、子殺しに対する親の復讐が描かれているのなら、私だけポイントがずれて見てしまったのかもしれない。主人公の復讐劇が刑務所内で着々と進行している姿。同じ子探しのキル・ビルともまた愛情の描き方が違う。寡黙な主人公のいろんな気持ちが感じ取れる様に描かれたワンシーンワンシーンなのかもしれない。しかし、なんか、違うジグソーパズルを持ってきてあわせているような感覚を彼女の中の母性は感じさせたのだ。
最初に書いた魔女のシーンって、風呂場のあの顔のことである。ポルノ映画を見るようなひとには、よく出てくるシーンの一つだろうが、私には恐怖に感じた。魔女と呼ばれるみんなに嫌われ者の囚人は、暴力で人を屈してきた。これがもし、コ・スヒの様な破壊力のある姿をしている人ではなく、主人公のような美しい女性なら、エロティックに感じたのかもしれないと思ったのだ。男性が美女を選びたがるのは仕方ないなぁと思った。う~む。
他の家族と共に復讐の話だが、主人公が他に子も殺されていると思ったときに、自分だけで殺すということから解放されてホッとしたのではないかと思った。自分の復讐心は、死んでしまった子どもとどこかにやってしまわれていた子どものことと、脅されて刑務所に服役をしていたことの気持ちがそうさせているのであろうが、彼女の復讐劇はお膳立てするまでで昇華されていたのかもしれない。と勝手に思ってしまう。死んだ子を抱えた家族が集まって、さて犯人をどうするかって話に、韓国ではこんな風に進むだろうか?日本から見たイメージでは、先日も抗議の焼身自殺の映像を見たところなので、そうかもしれないと思ってしまうのだが、日本では警察に委ねて法の裁きをとなる可能性の方が高いような気がする。子どもに対する気持ちが希薄だとか言うのではなく、韓国は兵役義務を持つ国で、死に対する考えがもっとはっきりイメージとしてあるように思うのだが、日本には死に対するはっきりした気持ちがないような気がするのだ。こんなんで、分かってくれってのもおかしな話だが、死のとらえ方が軽いのか、意味がないのか、またまた過ぎ去った過去なのか。そのように感じる自分がそうなだけで、日本人がそうではないのだという所にまでたどり着くと、なるほど、自分はただ何も理由無く、殺したくないし、殺されたくないと漠然と考えて、じゃあ、自分はいっつも嫌なことは誰かがやってくれるというような気持ちを根底に持っているのだなぁと感じたのだ。
「じゃあ、クムジャさんにやってもらえばいいじゃないですか」
って、やっぱりおかしい。
白いケーキ、赤い手紙に赤いアイシャドー。ラストの指折り数えるシーンの演出良かった。
パク・チャヌク監督が気に入って使っているチェ・ミンスクは、七変化のように太ったり痩せたりしていますね。ちょい役のソン・ガンホは復讐3部作の最初復讐者に憐れみをにも出ている。
本当に、色々考えさせてくれる凄い映画だった。
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Comments
海音さん、トラバありがとうございました。
たしかにコ・スヒ演じる刑務所の魔女はちょっと気持ち悪かったですね。「ほえる犬は噛まない」ではまた別の顔が見れますよ。
クムジャさんたちの復讐と韓国の死生観については海音さんの感想を読んで「あぁ、そういうふうにも解釈できるんだ」と思いました。
ほんとにいろいろ考えさせられる映画でしたね。
Posted by: 唐須 | December 01, 2005 at 09:55 AM
★唐須さま
コメント有り難うございました。こちらこそ、TBのお礼も伺わず申し訳ありません。
「吠える犬~」は見ました。主人公と仲の良い店の人だったと思いますが、違ったかな。今回違う迫力があって、うまい俳優さんですね。
なんというか、その時に自分が本や映画で印象に残っていることが、自分の気になっていることなんですよね。だから、気になりつつも何かが分かっていないという状態の死生観なんです(笑)。
Posted by: 海音 | December 02, 2005 at 07:07 AM