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July 31, 2006

ゆれる

 オダジョ(許せファンよ、ついつい)が嫉妬した才能の持ち主である監督が、決して男性ではかけない脚本を書き映画化した。ゆれるはそれほど、見えない感情のせめぎ合いなのだ。
 この作品の脚本を渡された兄弟を演じる二人の俳優はどう考えただろう。確かな事実は、二人の目がはっきり見ている。ただ、事実は事実であって必要なものではなかったのだ。
 唾棄すべき存在のような兄を見る姿。弟は田舎で暮らすしかない、父の後を継いで、日々辛い気持ちを笑顔のそこに隠して生きている兄を馬鹿にしていた。兄は自分のことだけの弟と父に挟まれて、田舎での生活を送っていた。近所の目もある。ただ、自分だけが我慢すれば済むことだったのだ。そんな二人に転機が訪れる。
 たった一瞬の出来事が兄弟の絆や心を露わにする。弟は兄をどう思っていた。兄は弟をどう思っていた。一本一本糸を巻き取ることで、本当の気持ちが浮かび上がっていく。二人の俳優の演技合戦と言った姿を観客は見せてもらった。
 だんだん逆転していく兄の姿。多くは語らず、表情や立ち振る舞いで、時間の経過や感情が分かる。すっごいなぁと、観客はびっくりするだろう。また、その演出も高度で、淡々とした話がドラマチックに引き込まれる。ラストもどっち?と観客に兄の感情を託す。何か簡単で難しい映画だったなぁ。

 オダジョや香川照之が全く似ていない兄弟で、その表したかったものを表現出来る人を選んだようだ。あの弟の兄を見る視線は、本当に凄い捉え方だなぁと感心する。確かに目線が違う。兄の背中が効果的だ。

 兄弟って、平等じゃないよね。その兄弟も弟の方が得しているように見える。会社のやんちゃくれの男性達も皆弟である。親からも下の方が可愛がられるし、上は可哀想だなぁ。

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