« やっぱ、ケロロ軍曹は可愛いなぁ | Main | 神戸のおすすめ店 No.2 意屋 »

February 17, 2007

墨攻 -この映画考えること多し。

 墨家とは、春秋時代から戦国時代により激しく闘いが行われていた時代に、その頃には珍しく、神の存在と、戦わずして守り抜くと墨子が説いた思想集団である。戦国時代に、守り抜くといったことは、より高度な戦術に長けると言うことで、現代語でも、墨守と言う言葉かがあり、意味は「〔墨子がよく城を守り通し、楚軍を退けたという故事から〕昔からのしきたりや自説を固く守ること。」とされている。
墨子が唱えた思想は、 wikiより
○兼愛 全ての人を公平に隔たり無く愛せよという教え。
○非攻 当時の戦争による社会の衰退や殺戮などの悲惨さを非難し、他国への侵攻を否定する教え。ただし防衛のための戦争は否定しない。
○尚賢 貴賎を問わず賢者を登用すること。
○尚同 賢者の考えに天子から庶民までの社会全体が従い、価値基準を一つにして社会の秩序を守り社会を繁栄させること。
○節用 無駄をなくし、物事に費やす金銭を節約せよという教え。
○節葬 葬礼を簡素にし、祭礼にかかる浪費を防ぐこと。
○非命 人々を無気力にする宿命論を否定する。人は努力して働けば自分や社会の運命を変えられる。
○非楽 人々を悦楽にふけらせ、労働から遠ざける舞楽は否定すべきであること。
○天志 上帝(天)を絶対者として設定し、天の意思は人々が正義をなすことだとし、天意にそむく憎み合いや争いを抑制する。
○明鬼 善悪に応じて人々に賞罰を与える鬼神の存在を主張し、争いなど悪い行いを抑制する。
 なんか、2400年ぐらい前に理想の国家思想が出来上がっているではないか。

 この映画の中で、敵を無差別に殺していることに主人公は、迷い、愛する女性に問うている。彼女は、
「人に意見を聞こうとすると言うことは、迷いが出てきたこと」と、真理をつく。この映画の中でも、助けを求めた梁国に対して、墨家は助けたところでこの国は・・・と言うことがあり、見捨てたので、主人公が一人この城にやってきたという話になっている。非攻を説きながらも、守ることで人を殺していかないといけない。上記の思想が根源であるなら、迷って当然であろう。また、平和論を語る主人公を疎ましく扱い、犯罪者に仕立て上げようとした梁国の国王も、「自分の」国を守るために当然の行為であろう。
 この戦国時代、秦に統一されるまで、韓・魏・趙以外にも多くの国主が存在しただろうが、この梁国は架空の国のようだ。漫画も小説も読んでいないので、断定は出来ないが、趙と燕の国境にあるという場所の設定なのだが、当時の地図を見ても、梁の文字はない。この映画は墨家以外はオリジナルなストーリーなのだろうか。
 当時の書物に残っていたとしても、大した情報は無いはず。ただ、墨守と言う言葉が残っているという奇跡だけが、歴史の大きな舞台に心を誘ってくれる。この映画自体、めちゃくちゃ大感動巨編とは思えないが、この映画の根幹に流れている平和主義と、真実かもしれないと思わせる舞台設定が、私のこの検索結果にさせるぐらいの魅力に繋がっているのだ。

 あまりにもリアルな戦闘シーンと政治的構図な為に、実際にここまで守ることが出来るのかといったことは抜け落ちている。桶狭間の闘いのように、何十倍もの戦力の差があるのに打ち勝つというのを知っていても、何もない荒野に立つ梁城の攻防戦は難しいものだろう。陣地防御がこの場合の闘いに該当するのだろうが、硫黄島の闘いのように、延々と敵がやってくる状態では、攻防は難しかったのではないだろうかと思ってみていた。

 この映画、日本の原作本を使っている。その為か、プロデューサーにも日本人がいたので、撮影監督や音楽に日本人が使われている。平和を感じる映画が日中の精鋭で作られたのはとても嬉しく感じる。主人公のアンディ・ラウは墨子思想の語り部のように、現在の私達に問い、非常に役柄にそくした演技を行っていた。槍部隊のウー・チーロンはなんか真田広之を思わせた。とても、美形で香港映画っぽい俳優だ。今後の作品が楽しみである。

公式サイト

|

« やっぱ、ケロロ軍曹は可愛いなぁ | Main | 神戸のおすすめ店 No.2 意屋 »

「コミック」カテゴリの記事

「映画」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/43685/13938464

Listed below are links to weblogs that reference 墨攻 -この映画考えること多し。:

« やっぱ、ケロロ軍曹は可愛いなぁ | Main | 神戸のおすすめ店 No.2 意屋 »