300 -作品の面白さはどうあれ、芸術品だとは思う。
紀元前480年8月に起こったテルモピュライの闘いを映画化したものだ。この当時、ペルシア戦争が50年間にわたって行われている。王位を継いだクセルクセス1世は遠征に気が乗らなかったが、焚きつけられてエジプトを平定しギリシャへの侵攻した。この時の大群は、5000万を超えるものと言われているが、実際にそれほどの数を維持出来ないだろうからと、6万から20万と言われている。ヘロドトスの「歴史」が唯一、ペルシア戦争の事を書いているために、他に検証しようもないから、あり得ない事項もそのままとなっている。松本人志説のUFO=未来人飛来説ならば、多くの未来の歴史家がこのペルシャ戦争を見に行っていることだろう。
迎え撃つギリシャ側は、6000人、大群を前にして、スパルタの王レオニダスは、他の兵士を退陣させ、カルネイア祭で少数しか出ることが出来なかったスパルタ兵300人でこの砦を3日間守って時間稼ぎをした。内通者により迂回路がばれてしまい、王と兵は全滅することとなった。しかしそのおかげで、準備が出来たギリシャ側は、ペルシャ軍を迎え撃つことが出来たのだ。彼ら、300人と王は英雄である。
このスパルタは、戦乱の世だったために、生まれたときに自分一人で生きていけないものは殺され、7歳で親から離され共同生活し、12歳であらゆる訓練を行い、18歳で認められて成人し軍隊の共同生活となる。女性も肉体的な訓練を必須とし、15歳になると30歳ぐらいの男子と結婚するが、戦死することが多いので、兄弟で一人の妻ということが多かったらしい。結婚をしても男子は共同宿舎で寝泊まりする生活になる。王は2名並立しており、60歳以上になると兵役を免除されるので、その中から選出された28名と2人の王の30名で議会が行われる。司法権は、30歳以上の男子が毎年5名選ばれ、王と市民を監督する権利をもつ。軍以外の仕事はすべて奴隷が行っていた。女性の地位も高かったようで、レオニダス王の妻ゴルゴーは、前王の娘で賢者にして賢妻であったと伝えられている。このような管理下がしかれたスパルタも、この戦争では滅びることはなかったのに、それ以降、外国人が移入してくることで貧富のさが出来、崩壊することとなった。この時代徹底した軍事態勢でないとやっていけなかったと思うが、身体に支障があるものを殺してしまう制度は、自分の身が守れないとはいえ、現在に生きる私にはつらい話だ。
300名が1日で1万人を斃し、3日間大群を足止めさせたのは、ギリシャで確立された戦法ファランクスが一躍を担っている。それはこの映画を観たらすぐに分かって貰えるのだが、左腕で円形の大楯を持ち体を隠し、右側を右の人の楯の中に体を隠し、年配者を前列と後列にしき、弱い左側を強いものが守り、楯の上から槍をはなち、前列が倒れたら、次列が進んでいくといった戦法で、衝突の時に力を発揮した。テルモピュライは、山と海に阻まれた細い街道で、この闘いに向いたものだったのだ。
思いっきり、歴史を熱く語ってしまいましたが、史実にうまく話をまとめて、歴史をあまり知らない人にも楽しめるような作品に仕上げている。この作品は、今まで数ある歴史大作と比べて、血なまぐさい歴史が芸術品のように作り上げられているのだ。ストップモーションの多様と、死体や血がセピア色の画面でリアルで無くなっているために、恐ろしい数の気持ち悪さを感じることが全くなかったのだ。ペルシャ軍の驚異を描くために加えられた滅ぼされた村やその象徴となった木も逆光にして観客に重たいものを感じさせなかった。戦争は確かに酷いことだが、この時代の侵略戦争は当たり前で、血なんかを描いていたら、話の方向が本来描きたかったものを湾曲させていただろうから、本当に素晴らしい演出だと思う。この作品を観て、紀元前の世界をまた興味持ったのは言うまでもないことだ。といっても、作品的には英雄譚の話なので、すっごい感動したってのではない。兎に角、どこか芸術品なのか味わってくれ。チャン・イーモウ監督とは違う闘いの美学を映像化している思う。
主役を演じたジェラルド・バトラー他、有名な俳優は出ていないが、兜を被ると誰が誰か分からない程鍛え抜かれた体に、俳優達の意気込みを感じた。
*** 6/11 23:22 ***
書くの忘れていた。デルポイの神殿に神託を受けに行くというシーンが出てくる。映画は脚色しているが、歴史として残っているのは、「王の命か、ギリシャか」と言われたようである。映画同様、パルナッソス山にアポロンの宮殿があり、神がかりになった巫女から詩を託宣される。
この作品は、シン・シティのフランク・ミラーのアートブックが原作となっている。
ジェラルド・バトラーって「オペラ座の怪人」の人だったんですね。がーん、こんなに印象変わるんだ。あまりにも分かっていなかったので、お詫びに写真を貼り付けた次第です。
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Comments
う・・・熱く語っておりますな。歴史を・・・
勉強になりました。
私はいたって不真面目にこの映画を観賞しました。
気が向きましたら読んでみてくださいませ・・・
Posted by: しん | June 13, 2007 at 01:15 AM
★しんさま
記事面白く拝見しました。確かに原哲夫の描くような敵役でしたね(笑)。
Posted by: 海音 | June 13, 2007 at 11:46 AM