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August 25, 2009

ちゃんと伝える

 今年観た「愛のむきだし」で興味を持った園子温監督作品。父よりも先に死ぬかもしれない息子の苦悩という前作とは全くカラーが違うお涙ものを見せて貰えると喜んで行ってきた。
 前の時も思ったのだが、彼の映画の映像は他の作品と大きく違う。前作よりも如実に表れているのが、俳優との距離感と取り立てて映像で流す程でもない毎日の動作と毎日の行動、情景が何度も何度も繰り返されること。きっと、今まで観てきた映画は、これで分かるだろうと情報量と時間の闘いの中で編集した映画が山程あるのだが、この映画はその点から全く異なった映画として作られていた。アニメのように同じ角度の情景を撮っているのを何度も使っているのかと思う程同じアングルで、同じ日常風景。それが、実は私達観客と相通じる日常の一部だと何度も何度もたたき込まれ、一つ一つの物事が先にすすむと、その一言がどんな意味を含んでいるのかと、その時間に立ち返り映像を回す。前後する映像なのに、その時誰を撮っているかにこだわり、役者の演技がどんどん本物のように感じてくるのをまるで促しているようだ。
 EXILEのパフォーマーであるAKIRAの出演作がこの映画以外でもやってくるのだが、彼を選んだのがよく分かるように、彼の顔の表現がガンで余命幾ばくもない彼になっていく。
 泣かせようとしている映画でもなく、感動させようとしている映画でもなさそうで、「ちゃんと伝える」という言葉がどんなに大切だったかの意味を描いて行くために作った映画のようだった。
 映画の最後に監督が亡き父に捧ぐと書いていたので、そうか「ちゃんと伝え」たかったんだなぁと思った。
 一番効いているのは、母親が手袋をして同じ時間帯に夫の病院に向かい、バスを待つ。日常の情景で毎日のようにそこで待つ人がいて、また待たなくなった日常がある。その日常の変化に多くのことが含まれていることを大きく受け取る。
 ラストもとてもいいまとめ方だった。あの中でやっぱり、父親役の奥田瑛二が目立っていた。前作は娘が出て今回は父親、満島かおりもちょい役だったけれど出ていた。

 ブログの更新が少ないにもかかわらず、検索や何やらで多くの方にお越し頂き有り難うございます。ブックマークからの方もまだたくさんおられて、更新が途絶え気味で本当に申し訳ないです。大した映画感想文ではないけれど、興味持って頂いて本当に嬉しいです。ありがとうございます。

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» 「ちゃんと伝える」:西大島駅前バス停付近の会話 [【映画がはねたら、都バスに乗って】]
{/hiyo_en2/}何て書いてあるのかしら。 {/kaeru_en4/}「青少年に愛の手を」。 {/hiyo_en2/}ずいぶんストレートなメッセージね。ちゃんと伝わるかしら。 {/kaeru_en4/}だいじょうぶ。ストレートなメッセージはちゃんと伝わるさ。 {/hiyo_en2/}あら、たいした自信ね。その自信はどこから来るの? {/kaeru_en4/}園子温の新作「ちゃんと伝える」を観たからさ。 {/hiyo_en2/}園子温っていえば、「紀子の食卓」とか「愛のむきだし」とか、ストレー... [Read More]

Tracked on August 26, 2009 at 09:59 PM

» 「ちゃんと伝える」伝えるって、難しいね。 [シネマ親父の“日々是妄言”]
 EXILEのAKIRA映画初主演作、「ちゃんと伝える」(ギャガ・コミュニケーションズ)。最初タイトルを聞いたとき、『何の映画なのかな?どんな映画なのかな?』と思ってしまいましたが、映画を観るとその意味が“ちゃんと”伝わってきましたよ。  地方のタウン誌編集部に勤める史郎(AKIRA)は、父(奥田瑛二)が倒れたと言う知らせを受け、病院へ駆けつける。容態は安定するも、父の身体はガンに蝕まれていて、余命わずかという診断だった。高校教師で、サッカー部の鬼コーチとして鳴らした父。そのサッカー... [Read More]

Tracked on August 31, 2009 at 10:29 AM

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