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January 24, 2010

Dr.パルナサスの鏡

 変なもので、山田洋次監督はずっと60代を越えていると思っていた。きっと、撮っている作品のイメージがそうさせたのだろう。その反対に、テリー・ギリアム監督はなぜかいつまでも若い印象があり、70歳を越えた人が作った作品とは今回も思えなかった。彼の作品を知ったのは、知り合いに未来世紀ブラジルを勧められてだ。知ったときにはもう映画館上映すら終え、周りの人間もその作品の名前も知らなかった頃だった。彼が40代で作った作品だった。その後、12モンキーズしか観ておらず、グリムは見逃してしまった。とても残念だった。
 主人公が20代の若さで亡くなってしまい、その代わりに3人の俳優が加わることになったという話が有名で、途中の継ぎ接ぎはどうなったのかと気になったのだが、このような作品を最初から撮っていたと言われても違和感なく入り込めた。まぁ、1名の方がいいに決まっているのだが。
 舞台のイギリスだが、19世紀以前の馬車が倫敦の街並みを駆けている映像はそれだけで絵になる。やはり、ファンタジーの世界にはイギリスは不可欠か。また、鏡の中の世界の想像力のたくましさに感服する。映像を見ながら、黒澤監督の「夢」を思い出した。今黒澤監督が生きていたら、「夢」の世界をもっと映像化出来ただろうなぁと。不思議だ、「落下の王国」も思い出したので、この世界は色んなインスピレーションの集合体だと思った。
 テリー・ギリアムの精神がいつも現れているのが。残酷な世界の中の本当の社会悪を原因としてあげてくること。この映画の主題には弱かったので、観客にはインパクトがなかったのだが、子供の臓器売買をする悪い奴が主人公なのだ。主人公は最後の最後まで観客の私達にまで見せない。悪いことをやっていて反省をしない悪くて恐ろしい人間と言うことを隠しているのだが、現れたときも大して悪い奴として全面にその内容を出してこなかった。これは、ヒース・レジャーが死んだためにこうなってしまったのかもしれない。以前見たテリー・ギリアム監督の作品でも思ったが、彼の映像の力でたくさん騙されているのだが、まずメッセージありきで作られているような気がする。それは12モンキーズが顕著に表れていた。今回の主人公のインパクトが弱く描かれているのも。不本意ながら主人公が死に、重きを二人の闘いに置いてしまったからかもしれない。
 そう思うと、ヒース・レジャーの早すぎる死は大きな痛手なのだ。

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